高 榮蘭『出版帝国の戦争――不逞なものたちの文化史』読書会
主催 東アジア文学を読む会
共催 科研費20H01252「冷戦文化形成期(1945-1970)韓国文学・文化史の再認識」
近現代日本語文学・翻訳・ポストコロニアル文学の研究者、高 榮蘭さんの新著『出版帝国の戦争――不逞なものたちの文化史』(法政大学出版局、2024年5月)を題材に、読書会を開催致します。
2017年、私は先輩研究者である高さんに声をかけてもらい、専門分野を異にする研究者たちと集まって東アジアの文学作品を読み味わう読書会を行ないました。コロナ禍とメンバーの異動を経て会は休止していますが、久しぶりに再会して、あるいはこれを機会に新たな出会いを得て、高さんの研究を分野横断的に読み広げていきたいと考えています。日本文学に限らず、多様な関心をお持ちの方にご参加いただけることを願っております。(服部)
2024年7月13日(土)15:00-18:00 東洋大学白山キャンパス 6号館3階6307教室
司会 服部 徹也 HATTORI Tetsuya(東洋大学 近現代文学)
15:00 コメンテーター1 柳 忠熙 RYU Chung-Hee(福岡大学 朝鮮思想史・文学)
15:30 コメンテーター2 白井 魁 SHIRAI Kai(一橋大学大学院後期博士課程 台湾文学)
16:15 著者からの応答 高 榮蘭 KO Young-ran(日本大学 近現代文学)
17:00 フロアからの質問・全体討議
終了後、著者を囲んだ懇親会を予定しています。
参加希望のかたは読書会・懇親会それぞれのご参加可否について下記フォームより前日までにお知らせください。(懇親会については席に限りがあるため先着順で締め切る可能性があります)お問い合わせはbungakuronあっとまーくgmail.com 服部まで。
課題図書
以下出版社HPより転載
内容紹介
帝国日本の出版市場は合法/非合法を問わず、植民地の人々を積極的に読者として包摂しようとした。朝鮮人にとって日本語は抑圧する言語であり、抵抗の思想を学ぶための言語であり、娯楽のための言語でもあった。『戦旗』や『キング』、マルクスやレーニン、金子文子や火野葦平、林芙美子らの思考や文学が、発禁本とともに帝国の支配圏でいかなる思想や文化を醸成したのか、多彩な作品から読み解く。
著者プロフィール
高榮蘭(コウ ヨンラン)
韓国光州広域市生まれ。2003 年日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在,日本大学文理学部教授。近現代日本語文学,翻訳,ポストコロニアル文学研究。
主な著書に『戦後というイデオロギー 歴史/記憶/文化』(藤原書店,2010 年;韓国語版は김미정訳,현실문화,2013 年),共編著に『検閲の帝国 文化の統制と再生産』(新曜社,2014 年;韓国語版は푸른역사,2016 年),論文に「文学の路上を生きる―在留資格から考える「日本語文学」という落とし穴」(『日本近代文学』第105 集,2021 年),「レイプの位相と男性セクシュアリティ―大島渚『絞死刑』と大城立裕『カクテル・パーティー』のあいだから」(坪井秀人編『戦後日本の傷跡』臨川書店,2022 年)など。※上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第一章 プロレタリア
「共産党宣言」と平民‥情報戦時代のスローメディア『平民新聞』‥「露探」と戦う平民行商たち‥「新/平民」と朝鮮人の曖昧な境界第二章 図書館
焚書と「図書無館」の時代‥文化政治と朝鮮語の規範化‥帝国から/への向上心をあおる‥夜市・露店という空間第三章 不逞鮮人
朝鮮統監政治の新造語‥帝国メディアと闇メディアの攻防‥法域の間隙と不穏な情報戦‥金子文子・朴烈と「太い鮮人」たち第四章 検閲
「雨の降る品川駅」‥内地と日本語の両義的な役割‥検閲帝国の誕生第五章 資本
発禁という付加価値―雑誌『戦旗』と『蟹工船』‥雑誌『戦旗』と非合法商品の資本化‥ 非合法商品のカタログ、『戦旗』‥移動メディア「不逞鮮人」と植民地市場第六章 植民地
山本実彦の満・鮮‥『改造』と『東亜日報』の宴会‥改造社から社会主義を学ぶ‥改造社の転向‥満・鮮という新商品第七章 翻訳
内鮮一体の表象としての翻訳‥雑誌『文章』と内地からの「戦線文学選」‥帝国の小説家・林芙美子の戦線‥女たちの内鮮一体‥朝鮮の林芙美子=崔貞熙第八章 戦争
旧帝国の総力戦と軍需株の暴騰‥「広場の孤独」と植民地・日本‥朝鮮(人)なき朝鮮戦争‥張赫宙の朝鮮戦争従軍記‥日本は誰の味方でもないおわりに
会場案内
東洋大学白山キャンパス 6号館3階6307教室

