2019年には、はじめての単著を出し、二つのウェブ連載を始めました。 これを機にウェブ上に書いた原稿をまとめるページを作ります。このページの内容は随時更新します。
夏目漱石はどんな授業をしたのか?――受講ノートを探す旅
ひとつめのウェブ連載は、単著『はじまりの漱石――『文学論』と初期創作の生成』(新曜社、2019・9)の刊行元、新曜社のWebマガジン「クラルス」にて。『はじまりの漱石』のエッセンスと、盛り込めなかったこぼれ話をやわらかめに綴る連載です(全8回の予定)。Twitterで読んだ感想を書いてくださる方がいらっしゃり、とても励みになります。
連載の趣旨
いったい、漱石の講義はどんなものだったのだろうか。その講義は、同時期に小説家としての夏目漱石が誕生することと、どのように関わっているのだろうか。私もまた『文学論』や『文学評論』を読み、漱石の講義を追体験してみたいと思った。それらの著作の元となった講義の受講ノートが残っていることを知った私は、日本中に散らばる受講ノートを解読していく研究に足を踏み入れた。その成果の一端をようやく最近、『はじまりの漱石――『文学論』と初期創作の生成』という本にまとめることができた。
この連載では、私の受講ノートとの出会いと格闘を振り返りながら、そこから見えてきた漱石と漱石の教え子たち――そこには今日忘れられつつある人たちも含まれるし、漱石の退職直前に講義を受けていた志賀直哉や、漱石の講義を受けることができなかった芥川龍之介たちもふくめる――について綴ってみたい。
第1回 芥川は夏目先生の講義を受けたか
没後百年、生前の姿そっくり(?)にアンドロイドとして甦り出張講義をしている漱石。彼が、まだ思い出せないこととは?
小泉八雲の後任として教壇に立った漱石を待っていたのは学生達の反発。当時の学生の日記を見ると「無価値没趣味」「欠伸のみ出づ」🥱とボロクソ……(笑)
そこからなぜ人気講師になれたのか。
夏目漱石と春陽堂
二つ目は、明治11年創業の出版社、春陽堂書店のウェブサイトで、同社とゆかりの深い作家を扱う連載シリーズの一つとして、「夏目漱石と春陽堂」と題した連載を担当しています。
連載開始にあたって、同社が当時の資料を保存していないかしら……と淡い期待をしていたのですが、そういった資料は無いそうです。そこで、近代文学研究者、超一流のブック・コレクターでもあり、Twitterでは「初版道」さんとして親しまれている川島幸希先生にインタビューを行なうことを思いつき、連載開始に先立ってウェブ掲載させて頂きました。
連載本編(全4回予定)
今でこそ「漱石といえば岩波書店」というイメージが強いが、(…)春陽堂ぬきにして、漱石は語れない。では、漱石が小説家デビューした頃に時間をさかのぼると、春陽堂の存在はどのように見えてくるだろうか。
初回は夏目の猫を天国から叱りにきた猫の話
第2回 身投げした私を画にかいてください――春陽堂待望の漱石作品『草枕』
『草枕』は現代人には少々てごわい文体で書かれていますが、松岡映丘らの『草枕絵巻』と一緒に見ていくと、作中の女性達の悲劇の重層性が鮮明になります。
更新があり次第、追記します。
対談記事
ついでに。漱石『文学論』がらみでいうと、2017年12月に山本貴光さんと行なった対談が週刊読書人ウェブに公開されていますのでぜひご覧下さい。
書評・その他
2017年
「博士論文についてオープンに話し合う場を 公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く」開催記」(リポート笠間63号より笠間書院ウェブに転載)
二〇一七年日本近代文学会春季大会「《特集》 一〇一年目の漱石──なぜ読まれてきたのか」リポート○栗原悠(早稲田大学大学院生)/服部徹也(慶應義塾大学大学院生)
2018年
2019年