Call of Unread Books

なんだか呼ばれてるきがする

論文を書きました。 「夏目金之助の「文学論」講義ーー漱石出発期の背景ーー」

論文を書きました。

 

夏目金之助の「文学論」講義――漱石出発期の背景――
Natsume Kin'nosuke's Lectures on the "General Conception of Literature": The Background of Early Soseki
服部徹也
日本近代文学 (98) 100-115 2018年5月 [査読有り]
本稿は学生の受講ノートと日記、『文学論』原稿を用いて夏目漱石の講義とその書籍化『文学論』との間の変容を明らかにした。騙されることと虚構を楽しむことを類似した表現で論じ、『ドン・キホーテ』やシェイクスピア戯曲を用いて悲劇と喜劇は同型であり異なるのは観客の心理的態度であると論じる刊本未収録箇所は、情緒によって読者・観客が催眠的に物語世界にのめり込むという漱石の虚構論の根幹に関わる。同時期の創作『倫敦塔』では虚偽をしかけに用いつ、虚構ならではの真偽の宙づりが効果的に用いられていることを併せて指摘した。

 

なお、掲載号は「特集 漱石現象」という特集が組まれています。

f:id:bungakuron:20180523163313j:plain

f:id:bungakuron:20180523163329j:plain

 

 私は特集の枠に投稿した形です。この号には特集趣旨文が載っていないので、投稿募集の際の趣旨文を貼っておきます。写真が歪んでてごめんなさい。

f:id:bungakuron:20180524163757j:plainf:id:bungakuron:20180524163809j:plain

2016-2017と続いた漱石アニバーサリー関連もこれで打ち止めでしょうか。アニバーサリー期間には、いくつか漱石関係のシンポジウムを見学しに行きました。とくにフェリス女学院大学で行われた国際シンポジウムに詰めかけた超満員の観客の皆さんの姿(お年を召した方がたくさんいらっしゃった)を、論文を書くあいだ時々思い出します。

生誕一五〇年 世界文学としての夏目漱石

 

以下は文庫化と、増補新版が出たようです。(私は関わってません)

夏目漱石、読んじゃえば? (河出文庫)夏目漱石 増補新版: 百年後に逢いましょう (文藝別冊)