Call of Unread Books

なんだか呼ばれてるきがする

『ポスト・オリエンタリズム』読書会のお知らせ

私が呼びかけ人の一人である有志の研究会で、下記の通り読書会を行います。

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80年代の文学・批評・研究史を読む会 第16回研究会 『ポスト・オリエンタリズム』を読む

 

6月2日16時 早稲田大学早稲田キャンパス ※教室は追って連絡

※19時から懇親会を予定。

※参加希望の方はお名前、メールアドレス明記の上、ブログコメントからお知らせ下さい(その際懇親会参加/不参加をあわせてお知らせ下さい)。参加申請のブログコメントは非公開のままにします。TwitterのDM、メールでのご連絡でも結構です。

 

課題図書: 

ハミッド・ダバシ著

早尾貴紀・本橋哲也・洪貴義・本山謙二訳『ポスト・オリエンタリズム』(作品社、2017・12)

http://sakuhinsha.com/philosophy/26757.html

ポスト・オリエンタリズム――テロの時代における知と権力

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論文を書きました。 「夏目金之助の「文学論」講義ーー漱石出発期の背景ーー」

論文を書きました。

 

夏目金之助の「文学論」講義――漱石出発期の背景――
Natsume Kin'nosuke's Lectures on the "General Conception of Literature": The Background of Early Soseki
服部徹也
日本近代文学 (98) 100-115 2018年5月 [査読有り]
本稿は学生の受講ノートと日記、『文学論』原稿を用いて夏目漱石の講義とその書籍化『文学論』との間の変容を明らかにした。騙されることと虚構を楽しむことを類似した表現で論じ、『ドン・キホーテ』やシェイクスピア戯曲を用いて悲劇と喜劇は同型であり異なるのは観客の心理的態度であると論じる刊本未収録箇所は、情緒によって読者・観客が催眠的に物語世界にのめり込むという漱石の虚構論の根幹に関わる。同時期の創作『倫敦塔』では虚偽をしかけに用いつ、虚構ならではの真偽の宙づりが効果的に用いられていることを併せて指摘した。

 

なお、掲載号は「特集 漱石現象」という特集が組まれています。

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Is There a French Postclassical Narratology ?

ジョン・ピエール John Pier さんの論文「Is There a French Postclassical Narratology ?」を読んだのでメモ。フランスにおけるナラトロジーの研究状況の整理。タイトルは反語で、要するにフランスではアメリカの「ポストクラシカル・ナラトロジー」は流行ってないよ、という趣旨。
 

ジョナサン・カラー(1975)の「馴化」

 前回のブログをご覧になった橋本陽介さんから、「二冊あるからあげる」とFludernikのTowards a 'Natural' Narratologyを頂いたので、序章と第一章を読みました。まだよくわかりません。でも、結構好きなタイプの議論な気がするので、もう少しじっくりよんで、同書に対してどのような応答が行われているのかも調べていきたいと思っています。

 Towards a 'Natural' NarratologyStructuralist Poetics: Structuralism, Linguistics and the Study of Literature (Routledge Classics)

 

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岩松正洋「「記号論」以後の物語理論」

 前回更新から間があきました。新しい職場で研究環境の整備中です。
 大学院に入ったときはいろんな文学理論を読むぞ~と張り切っていたのですが、いざ研究を始めてみると夏目漱石についてほぼ手つかずの厖大な資料があることがわかり、博士課程の五年間はほとんどかかりきりでありました。漱石資料についてはまだまだやり残したこともあるのですが、しばらくは文学理論の勉強をしたいとおもっています。そういうわけで、不勉強のうしろめたさから、こんなブログタイトルなのです……。いえ、本が呼んでる気がするのは、幸せなことです。
 
 さて、どこから勉強を再開しようか、といくつか以前読んだ論文を再読しています。マリー=ロール ライアン(Marie‐Laure Ryan)『可能世界・人工知能・物語理論』の訳者でもある岩松正洋氏に、次のような論文があります。
 

漱石について新資料を刊行しました

 夏目漱石について、新資料を刊行しました。漱石は英国留学から帰国して、東京帝国大学で講義を行いました。その講義で最初に述べたと考えられる「序論」が、学生森巻吉の受講ノートに書き取られていた! というものです。

 下記の通りウェブ公開されています。貴重な資料の閲覧、掲載、公開を許諾してくださいました金沢大学附属図書館、東京大学総合文化研究科・教養学部駒場博物館に御礼申し上げます。

 

新資料・漱石『文学論』講義の序論「外国語研究の困難について」ーー森巻吉受講ノートからの影印・翻刻と解題ーー
服部徹也、樋口武志
三田國文 (62) 44(1)-24(21) 2017年12月

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00296083-20171200-0044

 

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